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戦後“在日”文学論―アジア論批評の射程

戦後“在日”文学論―アジア論批評の射程
山崎 正純
戦後“在日”文学論―アジア論批評の射程
定価: ¥ 2,520
販売価格: ¥ 2,520
人気ランキング: 47614位
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発売日: 2003-02
発売元: 洋々社
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「アジア」に向き合う倫理と論理
李静和の「つぶやきの政治思想」を導きの糸として説き起こされるプロローグ「抑圧と想像力──〈赦し〉はあり得るか」からエピローグ「〈在日〉文学と日本文化」に至るねばりづよい本書の議論は、確かに「在日文学」を論じた優れた批評の書ではあるのだが、あるいは副題「アジア論批評の射程」の方が、書物総体を貫く問題意識の所在を明らかにしているようにも読めるし、そもそも「ポスト・コロニアル批評」という紋切型を回避した「アジア論」という用語=問題構成にも、論者の姿勢の一旦は窺い知ることができよう。
プロローグに「戦後〈在日〉文学の、過去の痛覚の表現が、やがて忘れられ消滅していくことが避けられないとしても、今はしかし目を閉じるべき時ではない。忘却に抗し、痛みの記憶から語り出された言葉のために、表現の〈場〉を守らなければならない」と書きつけた山崎正純は、第一部で金鶴永・金石範・李恢成をていねいかつ精力的に論じた後、第二部にいたって検討対象を竹内好・太宰治へとシフトさせていく。この時、「在日文学」を論じた第一部の議論を承けて浮上してくるのは、「アジア」という問題領域であり、これまでの「迂回」され続けてきたながら、「近代日本」の必須の成立条件でもあった主題である。続いて第三部に至ると、第二部でも言及のあった保田與重郎や小林秀雄も、やはり同様の問題構成から、論述の対象とされていく。そこで目指されたものは、極めて尖鋭な問題意識とともに、以下の一節にクリアに書かれている。
《国体明徴生命から東亜新秩序、大東亜共栄圏へと拡大純化していく統合的完成の“美しさ”は、実は統合する側から見下ろされた表象の“美しさ”でしかあり得ず、個々のメンバーの連帯と断絶とを複雑に呑み込んだ述語的統合の地平には、そうしたみせかけの“美しさ”を、統合と抑圧の力学の擬装表象として眺めかえす理性、近代への根源的批判の根拠としての垂直構造的な領域が横たわっている。この領域をわれわれは〈アジア論的領野〉と呼ぼう。近代への夢幻の憧憬と深い幻滅とをそのまま沈殿させたこの領野こそ、近代の目的論的な意味空間を外から支えつつ、同時にその暴力性の痕跡を浮かび上がらせ、近代の言説編成に修復不可能な断裂を発生させる、そのような抵抗の基盤なのである。》

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