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閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母

閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母
角田 房子

定価: ¥ 660
販売価格: ¥ 660
人気ランキング: 99157位
おすすめ度:
発売日: 1993-07
発売元: 新潮社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

隣国の歴史を知らぬ者は自国の歴史も知らぬ。
 小生は、学習旅行で1998年にソウルの景福宮を訪れ、ガイドにここが閔妃暗殺現場だと説明を受けたとき、背中に一筋の冷たい汗が滴り落ちた。それ以来、本書は気になる一冊であったが、今回読む機会を得た。筆者が70歳を越えて上梓した作品といわれているが、その筆力に圧倒されて一気に読んだ。
 閔妃暗殺事件とは、1895年10月に日本の国家を代表する朝鮮駐在公使の三浦梧楼が首謀者となり、日本の軍隊や警察、日本の民間人たちを朝鮮の王宮に乱入させ、こともあろうに公然とその国の王妃を殺害したという、およそ近代世界外交史上に類例を見ない暴虐を働いた事件である。しかし、日本政府は、国際的犯罪者たちの罪を問わなかったことで、いまだに韓国の人々の胸に傷跡を残しているが、日本の国民の大半は、この事件の知識を持ち合わせているとは言い難い。この事件後の朝鮮の人々の受難の歴史を知る人も多くわない。
 感情移入を極力排除して、膨大な資料・参考文献と緻密な取材活動に基づいて見事にまとめ上げた筆者の努力と力量には、ただただ感服のほかにない。韓国・朝鮮の固有名詞や人名、地名のカタカナ表記は、実に正確である。筆者は朝鮮語ができないというのは、謙遜しているとしか思えない。
 小生の尊敬する大江志乃夫先生が歴史学者の立場から解説を書いてくださっていて、本書の内容にさらに彩を添えている。
 日本政府はもとより、国民一人一人が謙虚に過去に目を向けない限り、日韓の歴史認識のズレは、修復不可能であろう。その証拠に近年の韓流ブームでも昔ほどでないにしても、相変わらず韓国・朝鮮人に対する偏見と差別意識は日本社会の底流に漂っている。
 閔妃暗殺事件とは何であったのか、解説とあわせて読めば、当時の朝鮮や清国、ロシア、欧米列強と関連づけて日本近代史を学ぶのには価値ある一冊だ。一読をおすすめしたい。もちろん、単に小説と読んでも構わない。



角田版「閔妃・波乱万丈伝」
これは実在の「閔妃」のことを書いているように見えて、実は著者のつくりあげた架空の女性の栄枯盛衰物語といっていいのではないかと思う。
「閔妃暗殺」という題名なのに、暗殺に行くまでが長すぎるし、暗殺と無関係な部分の語りが細かくしつこい。たまたまラストで日本人に殺されてしまった、という流れで、著者は暗殺そのものに焦点を当てているとは思われない。また、大院君との果てしない確執や、隠れ家生活、驚きの復活作戦など、「暗殺」とは直接関係ない閔妃の波乱万丈の人生が、これでもかと大枚費やして描かれる。
夫に冷たくされ、心が通わなかった新婚時代、それにめげずに側室に生まれた子を祝い、ポーカーフェイスに徹した非経産婦時代。雌伏して時を待ち、自分に子が生まれてからは、時間をかけて側室の子を殺していく閔妃。
なんだか角田の描く閔妃というのは、エカテリーナ二世と似ているところがある。しかしエカテリーナは夫を追放したうえ、もしかしたら殺したが、閔妃の場合は死の直前まで夫との関係は良い。エカテリーナに引けをとらず、西太后にしても、なんの根拠もなく中華人民の上に君臨してしまったのだが、こう比較してみると朝鮮半島には女が君臨する素地がなかったということだろうか。
それにしても、エカテリーナにしても西太后にしても閔妃にしても、若い頃に冷や飯を食った女性というのは、権力を手にすると、もれなく浪費に走るのがお約束だ。そういう意味での女の恨みはほんとうにこわい。
やっぱり題名がまちがっているよなあ。「大河ドラマ・朝鮮のエカテリーナ閔妃、その波乱万丈の生涯」でどうでしょうか。

重要な本。
自分はこの本について価値がないとは、思わない。

確かに、角田は学者にくらべれば歴史については無知に等しいし、本書においての小説仕立ての彼女の語調も多分に推論と感情移入の織り混ざったものであり、巧みな筆致で小説と歴史を語る書としての間を行ったり来たりしている。
すなわち、重要な問題を登場人物の「心情」に落とし込むことで、例えばカギ括弧を使って三浦に閔妃殺害を誓わせることで、三浦梧郎が主犯であるとの確信をこちらに与える。これは手法として、会話文を使い、歴史にロマンを持ち込むことは、小説家としての彼女の手腕の鮮やかさを感じさせることながら、「歴史を語る書」としては読者を幻惑させるものであり、信憑性には何だか危ういものを感じる一例である。

しかし、未だ閔妃を巡る議論は錯綜を極め、この問題について議論をするときには明確なスタンスが必要とされるが、そういった中、この本は明確な資料であり、
この本を中心に据えての指標として、対極となるべきは、韓国の学者たちであり、この本への異議自体であり、この本を巡っての有意義な議論である。
現在日韓問題の前に横たわる長い冬の時代において、正確で公平な判断を下す上で、敢えてこの書は避けては通れぬものだと認識する。
閔妃を日本の市民レベル、若い層にも知らしめたのも、この本である。
公平なリテラシーを照らし合わせ、ぜひ、読まれたいことと思う。

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